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残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

2011年01月04日 22:49

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
(2010/09/28)
橘玲

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本書のヒリヒリとした論理展開は刺激的だ。
読書ノート。

【能力主義と能力神話とそのウソと】

・能力主義の正統性と、その前提を巡る議論および、
 能力主義システムの実際に関して
  -能力主義の正当性
   (人的資本論による労働の解釈)
    人的資本論においては、働くという行為は労働という
    価値を投資し、リターンを得る行為と解釈される。
    そして、リターンを決めるに当たって、働きの価値を
    客観的に評価する指標が必要となる。
   (評価指標に関して)
    評価指標は、人種、出自、性など、本人の意思で動かす
    事が出来ないものであってはならない。
    市場価値を決めるものは、本人の能力でなければならない。
    そして、その能力を表すものとして、学歴・資格・職歴が
    あげられる。
   つまり、能力主義は、労働力を評価する社会のものさしとして
   機能する社会インフラといえる
   (能力主義の無い資本主義社会はありえない)。

  -時代の申し子
   上記を後押しするイデオローグとしての勝間和代の登場は
   時代の要請であったと解釈される。

  -前提を巡る議論
   ただし、能力主義の社会的必要性は認められるものの、勝間の論
   に散見される前提には異論がある。その前提とは、
   「誰でも努力すれば、能力を開拓でき、無限に伸ばすことができる」
   ということだ。果たしてそうであろうか。

  -能力神話のウソ
   行動遺伝学を通してクリアになったのは、
   「適正に欠けた能力は学習や訓練では向上しない」ということだ。
   遺伝を通し、能力の70%は先天的に規定され、かつ、人格形成期を
   通過すると、個人の性格的形質を変えることも不可能である。
   
  -現実
   先天的な能力の不均衡による不平等は現行の能力主義システムでは
   フォローできない。
   つまり、現行の能力主義システムとは、先天的な能力の不均衡による
   不公平は織り込んだ上での、最大限公平性をしめした社会システムと
   なる。

・能力主義の不均衡と、光明
  -能力における市場ニーズの不均衡
   能力主義の構成要素として留意すべきなのは、
  「あらゆる能力のなかでも、市場ニーズに偏りがあること」だ。
   論理的思考能力、対人的能力はいわゆるツブシが効く能力として
   市場から広範に求められるのに対し、例えば音楽や絵などの能力は
   市場の要請に量的制限があり、かつ、それゆえに求められる能力も
   先鋭化が成される。

  -結局のところ
   能力主義から抜け落ちた人はMACJOBに身をやつしながら、生きていく
   しかないのか?いや、方法はある。

  -その方法とは、
  「伽藍を捨ててバザールに向かえ。恐竜の尻尾の中に頭を探せ。」
   である。


【複雑系で構成される世界と神】
 ・世界のほとんどは「複雑系」で構成されていることが分かってきた。
  そして、残念ながら長い進化の過程で人間にプリセットされてきた能力
  の中には複雑系を解釈する機能は実装されていない。
  よって、複雑系の領域は神の領域として解釈をされてきた。

 ・複雑系:多数の連動する未知・既知のファクターにより結果が算出される
      システム
      cf/ブラジルで蝶が羽ばたくとテキサスで竜巻が起こる


その他「愛情空間/政治空間/貨幣空間論」「ともだち論」「社会心理学と最適解」
「洗脳の手法」「影響力の武器」「こころ=シミュレーション装置論」
「日本的経営のグロテスクな実態」「評価と報酬とモチベーション」など、
裏打ちされた興味深い論考多数。再読価値あり。 

東京アウトサイダーズ

2010年12月11日 23:58

東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉 (角川文庫)東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉 (角川文庫)
(2004/01)
ロバート ホワイティング

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前作、東京アンダーワールドからのアウトテイク集
とも言うべき作品。

東京アンダーワールドがニコラス・ザペッティという
極めてユニークな人物を主として展開していたのに対し、
本作は同じ日本の戦後の動乱期を舞台に、暗躍し、跳梁した
不良ガイジン(詐欺師、高級コールガール、GI、マフィア・・・)
にスポットをあてていく。

戦後の動乱の中でいかにして新たなる支配者層が形成されていったのか、
今に連なる政治潮流、思想がいかなる政治団体の結託と利権の
中でうまれてきたのか、そして、司法や行政がいかに戦後の
再構成のなかであっても根本的に中立とは程遠いものであったのか。
日本は、不思議と調和した腐敗の中で発展を続けてきたことが
ホワイティングの精緻な取材により明らかにされる。

動乱の舞台の中、思惑は権力と結びつき、FIXERが暗躍し、
利権を生み、そしてまた人を惹きつけていく。

人間の建設

2010年11月07日 22:59

人間の建設 (新潮文庫)人間の建設 (新潮文庫)
(2010/02/26)
小林 秀雄岡 潔

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小林秀雄と岡潔による知的戯れ。
両人の見識を通し、痛感するのはこの年代の人間の
論理的・倫理的・哲学的根幹の強さだ。
(小林は1902年生まれ、岡は1901年生まれ)
もちろん、両人が稀代まれなる文人であり、学者である
ことがその印象の大きなファクタであろうが、かれらの
言説から垣間見えるのはその時代の人間が持つ人間としての
強さなのである。

政治、文化、学問、それらは同時退行性をもっている。
ひとつがだめになると、それらは連動し衰退をしていく。
今のテレビ番組、流行っている(と見せかけられている)音楽、
最低な政治、それらと彼らの薫るような知性を比較すると
その同時退行性を実感を持って感じざるを得ない。

われわれは、いかにして知性を取り戻し、人間となるべきであろうか。

(Notes)
・いまの人間には、たいていのことは肯定する力も
  否定する力もないのです。
・問題を出すということが一番大事なことだ。うまく出す。
  問題をうまく出せば即ちそれが答えだと。
・いろいろ作家を見ていますと、大体二十代で方向性が決まって、
  それからあとほかのことは考えていませんね。考えれないに違いない。
・言葉なんです。思索は言葉なんです。言語中枢なしに思索という
  ことはできないでしょう。
・私はイデーがあって、イデーに合う言葉を拾うわけではないのです。
  ヒョッと言葉が出てきて、その言葉が子供を生むんです。そうすると
  文章になっていく。

超ヤバい経済学

2010年10月17日 23:47

超ヤバい経済学超ヤバい経済学
(2010/09/23)
スティーヴン・D・レヴィットスティーヴン・J・ダブナー

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人間はインセンティブにより動く。

ルールが守られないのも、目先のエサに釣られ借金をして
将来にツケをまわすのも、エアコンのバリバリに効いた
部屋で環境問題を憂うのも、インセンティブが足りないのだ。

インセンティブとは、私の解釈を通して訳すと
「実感のある損得認識」だと思う。

それをすることの損得を実感することが無いから、
その重大性を認識することもできやしない。

(例えば、政府による莫大な国債の発行。その国家財政を
壊滅に追いやる施策の危険性に関して、インセンティブ
が働かないため、議論されることも無く、可決されていく。
もしくは源泉徴収。税金を納めているとう実感が無いために
税金の使い道をチェックしてやろうというインセンティブは
おきにくい。)

あらゆるものの解決策は、肥大し複雑化した問題意識のうえでの
苦しまぎれの方策-例えばCO2を巡る排出権取引だの、削減率の
国際協調だの、それを巡る南北問題だの-とは、
全く違ったアプローチから難なく提示されることもあり得る。
それは肩透かしみたいに感じるかもしれないけれど。

人間はインセンティブにより動かされる。

デマ、虚報に惑わされること無く、問題の本質、根本原因を
正確に把握し、その上で効く解決策を策定すること。
そして、それを実行する際には「人間はインセンティブにより
動く動物」であることを念頭に置き、実行プランをつくること。
それが、Freakonomicsの視点だ。

この国を出よ

2010年10月07日 00:58

この国を出よこの国を出よ
(2010/09/29)
大前 研一柳井 正

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この国が直面しているもの。
経済・政策に無知で財政を破壊し、
目先の利益、保身にはしる政治と官僚機構。
怠惰且つ不感症な大衆。
真実を報道することなく、大衆に迎合するメディア。

ユルイ幻想の中で、この国は確実に没落していく。
ようやく気がついたとき、事態は既に取り返しのつかない
がんじがらめの状況になっているのだろう。

激変する世界のパワーバランスの中で、日本企業と
日本人はいかにしてサバイブしていくのか。
あまりに内向きで丸腰な日本人に警鐘を鳴らし、
武装しジャングルへ飛び込んでいくことを強く薦める。

鬱憤がたまり、政治に失望し、何かを変えたい衝動に駆られる
ビジネスマンは一読すべき。


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