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丸太町ルヴォワール

2013年08月18日 02:38

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)丸太町ルヴォワール (講談社文庫)
(2012/09/14)
円居 挽

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最後の最後まで、位相をずらしながら繰り返され続けるどんでん返し。
京都、古から続く私的裁判という舞台装置。計算された構成。
雀士と棋士に、蛇と龍。

同世代にて現れた本格推理小説の旗手。
その博識と語感(互換)のセンス、文体の鮮やかさに脱帽し、焦燥を感じる。
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探偵はバーにいる

2011年10月09日 02:53

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)
(1995/08)
東 直己

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「三杯目のマティニで、しみじみと世の中が厭になった。五杯目のマティニで、
 そんなことはどうでもよくなり、七杯目のマティニで、そんなこんなも全て
 世の中で、それはそれでメデタイことだ、という気分になった。(P.161)」

「目的は、手段を正当化しない。
 なんとかして彼に負わせた傷を償いたいと思った。しかし、なんとしても
 不可能なのだ。自分の吐いたセリフに激しく苛まれるような、そんな歳じゃない。
 そう何度もいい聞かせたが、無駄だった。(P.332)」

読書とは、単語・センテンス、文章・論旨を自らの知識・見解、琴線
という櫛をとおしてフィルタリングすることだと思う。
自らの櫛を通したときにサラサラと引っかかりの少ない水の様な本より
キシキシと引っ掛かりの多い本、つまり、未知の知識や考え方、表現を
提供してくれる本が読んでいて楽しく、知的興奮を掻き立てられ、心に
残留物を残していく良い本なのだと思う。

本書、「探偵はバーにいる」は、読んでいると確かな、クールな、
芯の通った、シャープで切なくも気持ちの良い何かが引っ掛る。

ススキノ探偵シリーズの第一作は、その芯の強さ、独特の世界観を示し、
次作への期待をあおる。

(年々、この引っ掛かりを覚える本との出会いが少なくなってきた気がする。)

三月は深き紅の淵を

2011年06月07日 23:25

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
(2001/07/13)
恩田 陸

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一度読み始めるとページを繰る手が止まらなくなり、圧倒的な読後感を
残すといわれる謎と神秘に包まれた「三月は深き紅の淵を」という小説を
巡る四つの連作。

その小説をめぐり、読書家達の議論が描かれた第一部、その小説の著者の追跡を
描いた第二部、その小説が書かれるきっかけとなった事件を描いた第三部、
そして、本作の著者である恩田が、「三月は深き紅の淵を」という連作小説の
最終章をどのようにまとめようか、心情吐露をしながら描く残酷で幻想的な
最終章。

作中作、メタミステリ、メルヘンと残酷をいったりきたりしながら描かれる恩田ワールド。

(ドグラマグラを始めて読んだときの感覚を思い出した)

放課後

2011年05月08日 12:41

放課後 (講談社文庫)放課後 (講談社文庫)
(1988/07/07)
東野 圭吾

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懲りすぎずに、充分に手を凝らして消化させた緻密な作品。

どんでん返しではなく、伏線から鑑みればストンと落ちる
ラストシーン。

二重トリックによる動機の隠蔽とアリバイ成立、そして捜査の眩惑。

仰天するようなことは無いが、手堅く、すっきりと満足感のある
本格ミステリィ。



(上みたいなことを書く人がいるからミステリィ作家は大変だ)

名探偵の掟

2011年05月08日 11:55

名探偵の掟名探偵の掟
(1996/02)
東野 圭吾

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名探偵、天下一大五郎が大活躍(?)する本格推理。
本格推理小説という論理エンターテイメントに対する
著者のこだわりと愛情、そして苦労がにじみ出た異色の
ミステリィ。

推理小説がエドガー・アラン・ポーによって書かれてから
200年近く。推理小説という舞台装置はあらゆる視点・トリック・
潮流を取り込み、成熟の領域にある。
その中で新機軸を打ち出し続けていかなければならない現代の
本格推理作家は相当なジレンマ、地団駄を踏みながら、
脳のしわが裏返るような感覚を持ちながら執筆しているのだろう。

ミステリィファンと本格推理作家に捧げる異色・新機軸・オマージュ・
メタ・ミステリィ。


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