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竹林はるか遠く

2013年08月11日 20:32

竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記
(2013/07/11)
ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ

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1986年にアメリカで刊行され、名作とされていた本作。
ついに日本語版が刊行。
ある家族の北朝鮮からの決死の引き揚げを、
当時11歳の本作の著者の実体験に基づき描く。
戦争、そして家族について、考えざるを得ない。

なお、本作の一部の記述を巡って政治的な応酬が
されているようだが、それは本作の本質ではない。
その部分だけにフォーカスされ、本作が語られることは
ナンセンスであり、その点がヒートアップすることは、
ひいては、本作をプロパガンダ作品とみなすような手垢を
つけることにつながりかねない。
それは本作に登場する国、人々にとても失礼なことである。
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ニセモノ政治家の見分け方

2012年12月31日 02:40

ニセモノ政治家の見分け方 ゴーマニズム宣言ライジングニセモノ政治家の見分け方 ゴーマニズム宣言ライジング
(2012/12/19)
小林 よしのり

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振り子が左右に振れるように、自民党から民主党へ、
そしてまた自民党へ、政権が戻ってきた。

もう一度、思い出さなければならないのは、
なぜ、自民党を三年前に支持しなかったのかということだ。
その点を踏まえず、自民党に盲従すれば、また裏切られたと叫ぶ
ことになるのだろう。

本書を通し、現在の言論・政治空間がどのように形成されて
来たのか、流れを追って俯瞰的に把握することができる。
そして、認識を正確にしなければならないことは、「自民党→保守」
のように今回の選挙では印象づけられているが、現在の自民党の実態は
アメリカへの売国政党であるという点である。
そして、それによる様々な政策の害、違和感が前回の民主党への
政権交代をさせることになった背景であったと私は解釈をしている。

三年前のブログにも書いたが、日本には保守政党は正確には存在しない。
保守の仮面を被った自民党・安部政権がどこまで本当の保守であるのか、
その点を注視していきたい。

(美しい国、戦後レジームからの脱却を標榜していた第一次安部政権。
その流れを汲んだ本当の保守であれば、即断にて脱原発のはずだ。
脱原発を先ず示し、それを実現するためのイノベーションを促し
新経済構造を模索すればよいのではないだろうか)

(結局、中国・韓国への売国政党である民主党に比べ、アメリカへの
売国の方が「違和・嫌悪感が小さい」というのが今回の自民党への回帰の
背景なのではないだろうか。)

(小選挙区制では、その振り幅は極めて大きくなるという特徴が
今回垣間見えた。それによる弊害として熟練したプロの政治家が
育ちにくいという点が危惧される。)

深夜特急

2012年09月20日 00:00

淡々としている。
目に見えるものを見ながら、その目に見えるものの裏側を透かし見ながら。
ただ、淡々と、目の前のものと向き合いながら、背負うものの重さを感じながら、
前方、少し上目線の上にあるものに対して挑んでいる。
ひたむきに、享楽的に、ぬかりなく、駆け抜けていく。

物理的な移動を伴う旅と、時間の経過により変移していく旅は、
その本質的なスタンス・姿勢においては変わらない。
淡々と、斜め上を見ながら疾走していく。時間という旅を。

フェルマーの最終定理

2011年09月18日 01:14

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
(2006/05)
サイモン シン

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フェルマーの最終定理の証明への軌跡を追うドキュメント。
数学の持つ無限性と決して矛盾することの無い絶対なる論理。

数学の歴史とは世界を構成する絶対なる論理の解明と、
その解明を礎とした発展の軌跡。ゆえに数学は人類の叡智の結晶。
その結晶を用いて、人類はフェルマーの最終定理をついに証明した。

文化、政治、経済は退行しうる。
だが、絶対なる論理を基礎とした数学はその上に更なる絶対なる論理を
積み増す事で、絶対に壊れることの無い建築物として発展をしていく。
建築物の高さが人間の寿命を持ってして超えることが出来なくなったとき、
人類の知的探求の旅は終わるのだろう。

ガラスの巨塔

2010年03月07日 02:31

ガラスの巨塔ガラスの巨塔
(2010/02/25)
今井 彰

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元プロジェクトXのプロデューサー、今井彰による自伝的糾弾小説。

全日本放送地方支局に配属された西は、一地方局員として権限も
華やかな仕事も与えられることも無く自身の力を飼い殺しにする
日々を送っていた。
そんななか、待ち続けた転機が訪れ彼はそれを無我夢中で
つかみ成功させ、出世コースを歩んでいくこととなる。
出世コースに乗った後、彼はより自身の才能と技術を磨き、
全日本放送の中で自身の存在価値を光らせていく。
そして、自らが手がけた「チャレンジX」の大成功により
彼は大出世をとげていくのであったのが、、、。

組織には自己防衛本能がある。
防衛本能とは、その組織が内在する暗黙のルールを厳守
させようとするものであり、そのルールが破られるとその組織は
アレルギー反応を示し始める。

主人公の西に襲い掛かったのはそのアレルギー反応だ。
年功序列、根回し、政治力、組織内人脈といったファクタにより
構成されるがんじがらめの組織論理は「嫉妬」というアレルギー
反応を示し、それはパワーハラスメント、怪文書、中傷、謀略
として彼に襲い掛かる。

本作に描かれたNHKのような大組織の論理、汚濁体質は、
佐藤優が経験した外務省による罪のでっち上げ、
「沈まぬ太陽」に描かれた報復人事などにも散見される。

大組織は、えてして官僚的になりやすい。
官僚化とは明文・暗黙を問わないルール化であり、それらは同時に
思考停止を引き起こす。
本来、私たちがやるべきことは何か、その本質は何か、
目指すべきチームのあり方とはなにか、現実にいかに解釈し対処すべきか
それらがルールの中でなおざりにされ、真っ当な見地はルールとその
ルールの為政者により潰される。

本書は、大組織が抱える暗部をあぶり出し、同時にいかに人は働くべきか
その根源的問いを提示する。


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