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地図のない旅

2011年04月24日 23:26

地図のない旅 (集英社文庫)地図のない旅 (集英社文庫)
(1978/11)
五木 寛之

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五木寛之、壮年期のエッセイ。
後年の「大河の一滴」、「運命の足音」といった作品の執筆に
至る過程、青年・壮年期の五木氏のある時と場所の記録。

その書き方は、後年の円熟した書き方に較べると
青く衝動的であり、やがて彼が後年の作品にて明らかに
する禁断の記憶を踏まえると、この時期の彼がいかに過去と、
今と、そして取り巻くあらゆるものと格闘、暗闘を繰り広げて
いたのか、痛烈にこころに突き刺さる。

「手かせ足かせのように私の身辺にからみついているすべてのもの、
それらを一挙に投げ捨てて、一個の生命そのものとして自立したい、と私は思う。
そしてそんな自分を実現して、ふと体の奥に火がともったような気分になり、
やがて決してそれが現実的な衝動ではないこと、自分にそれをあえてする勇気が
ないことなどを知って苦笑する(P.35)」

人の世は予測しがたく、驚きと安堵、騒々しさと静寂に包まれている。
悩みながら、眼だけは前を見ながら、転がるように文章を綴る五木氏の
旅の記憶。
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