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妻への恋文

2010年08月17日 23:45

妻への恋文 (新潮文庫)妻への恋文 (新潮文庫)
(1996/02)
アレクサンドル ジャルダン

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狂気は、その当人にとっては極めて正当であり得る。
その狂気の構成要素を把握し、その思考がトレース出来た
とき、怖れは愛に変わり得る。

妻の心を取り戻すために、燻火となってしまった
愛を再び燃え上がらすために、他人になりすまし
妻を誘惑する話。
その成就は愛する者を手に入れた喜びと、愛する者を
失った悲しみという背反する感情を同時にもたらし、
新たなる狂気を呼び起こす。
やがて、その狂気が限りなく透明に近い純粋で構成
されていることに気がついた妻は、、、。

安部公房は「他人の顔」という本作と同じプロットの
小説を書いている。本作が決定的に他人の顔と違うのは、
その夫の愛の方向性が結局のところ自己にあるのか、
他者にあるのかという点であろう。
本質的に自己へ向かう愛は結局のところひとりよがり、
理解のされない狂気となり、破綻する。
同じプロットでありながら、本作と他人の顔の
その本質的な違いが、本作を最終的に胸を震わせる感動を
もたらす作品たらしめているのであろう。

10年後、今とは違う立場になっているかも知れないとき、
もう一度読みたい作品。



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